NIGHT SCRAPS

今 https://note.com/star_gazer_

2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

すべてを疑いたい夜に

人間関係が苦手だ。絶対切れないだろうと思っていた関係ほどするするとうまくいかなくなって、足掻こうとするぶん糸が絡まり、全部切らなくちゃいけなくなる。その「上手くいかないとき」が何回か続いて、自分に何か欠陥があるんだ、何か病めいたものがある…

ぽこぽこと、思考する(13)

・お酒を初めて買った。二十歳になった次の日、買いたいなあと思ってスーパーに出かけた。ビールと梅酒ソーダと、晩御飯の諸々を入れてお会計をした。年齢の確認されるかなあと想定して免許書を出す準備をしていたけど、なんにも聞かれずに済んだ。すごく寛…

ミルク

夜はまだずいぶん寒いんだと知った。疲労でとろとろになった頭が妙に心地よく、ひんやりした夜風もいい。外から帰ってきた人のかじかんだ手に触れられたようだ。おなかが空いて、スーパーで適当に食べ物をかごに入れる。レジはガラガラで、すんなりと会計を…

糸を垂らすだけさ

必ず渡らないといけない信号が、やけに長い。だいたいの人が、車が来ないのを確かめてそれを無視する。さあっと、静かに消えていく。僕はなんとなくぼけっと立って、信号が青に変わるのを待つ。気づくと、曲が一つ終わっている。なんでこんなに長いんだろう…

ぽこぽこと、思考する(12)

・偏頭痛というものはだいたい寝れば何とかなるのだが、今回のはしぶとい。前の学期末のときも、脳味噌を包帯で巻かれたみたいな気持ち悪さと、妙な吐き気を食らった。あの時はあんまり寝ていなかった気がするけれど、今はバリバリ寝て、頭が溶けるぐらい寝…

休日

ただ飯食って寝て、たまにこうして文章をひねり出す生活がずっと続けばいいのにと思う。料理しているときの、ぽっと自分がいなくなる感覚も一生続いてほしいな。自分の作ったカレーを食べて(まあまあだな)、全然知らないアメリカの30分ドラマを流し見しな…

モリッシーはずっと新しい

ゼミの研究として、イギリス・マンチェスター出身のミュージシャン、モリッシーについて調べてきた。調べる前からずっと好きな存在だったけれど、いろいろと知っていった今では特別な感情抜きに彼のことを見ることができない。調べてきたこと(既に語られて…

ボディー・ブロー

ときどき、予期しない所からボディーブローを食らう。本当に殴られるとかそういうことでは決してなく、心をぐっと鷲掴みされるみたいなことだ。それをちょっと比喩で言っているのだ。この間もツイッターで深沢七郎さんのことを知って、一気に興味を持ってし…

朧な爪

そういえば、今日は誰とも喋らなかった。大学生になってすぐは、誰かとすぐに仲良くなれるものだと思っていたから、そのことにすごく傷ついた。もの静かな部屋に佇む自分が憐れで仕方なかった。でも今は、そんなことを思い返すことも少ない。慣れというのは…

ぽこぽこと、思考する(11)

・人文学部で学んでいると言うと、「何してるの?」と訊かれることが多い。僕はどうしようもなくて「いろいろ」としか答えられない。文学や哲学、心理学や社会学なんかの幅広いことをやっているから、ときどき「何してるんだろう」と思う。結局、「何にも知…

オセロ・ゲーム

帰省を終えた日。高速バスにまた揺られ、そこからJRに乗って自分が住むマンションへと帰った。途中、身体はくたくたながら空腹だったのでスーパーに寄った。時計を見るともう午後七時をまわっている。夜の中で煌々と営むスーパー。適当にいろいろ詰め込んで…

ふくろう通信 その四

去年は、ずいぶん多くの機会で「平成最後の」という前置きを聞いた。僕は、自分が平成生まれであることを特に意識したことはなかったけれど、そのうち「おれら平成生まれはなあ...」なんて能書きを垂れるのだろうか。「平成」という顔も知らない誰かにぞっと…

夜が来るたびに…

2018年の12月27日、午前10時発のバスに揺られながら、窓の外を見ていた。田舎の山を切り取って高速道路を造ったものだから、目に映るものは大して重要ではないし退屈でしかない。それでも、葉を落とした木の枝が肺血管に見えたり、重たいグレーの雲から時々…