NIGHT SCRAPS

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2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

可愛いね

ごめんなさい。周りから浮いている人を見ると嬉しくなる。ちょっとした宝石を発見したような気持ちになってしまう。普通の定義はいろいろあるにしても、普通じゃないオーラはあちこちで香っていて、その色がするたびに心が躍る。本人が気づいていても気づい…

ルナ

夜を雇う。お金がないから、いつも退屈な夜がやって来る。だんだん感覚が麻痺し始めて、そんなことにも慣れてくる。そして僕自身が退屈になっていく。だけどときどき幸運が訪れて、特別な夜を連れて来ることができる。どれだけ普通の服を着ていても、はっき…

パーマネント恋

頸の匂い、鎖骨のあいだの窪地、心地いい枕。窓から漏れてきた昼の光で、頬が桃の薄皮みたいに見える。僕は猫の視線で、その一つ一つを点検する。少しばかり傷んだ髪の毛も、唇のすぐ近くにあるほくろも、早くなった心拍数も。町の音がぼんやりと聞こえる。…

骨の芯まで

刺すほどの冷たさ。それがずうっと心から離れなかった。だけど僕を乗せたバスがトンネルを抜け、次々と車を追い越していくのに合わせて強引に引き剥がされてしまった。熱い。氷のようなそれがくっついていたところが、ひりひりと痛んでいる。そして今度はこ…

リンゴとアルコール

二日酔いで目覚める。自分のことなど忘れて、馴れない体験にうつつを抜かしたせいだ。大して強いものを飲んだつもりはないけど。何かが吐き出されようと懸命に主張しながら、胸のあたりで引っかかってしまっている。それが余計に気持ち悪い。カーテンを開け…

まとめ(11)

・夜のはらいそ - NIGHT SCRAPS 「はらいそ」というのは、パラダイス、楽園といった意味です。だんだんと人々が寝静まる頃、ほろよいの方々が楽しくお喋りしている様子は、どこか楽園のように思えます。一方で、かんたんな格好で気兼ねなく過ごすのもまた好…

頭の中でハリネズミが暴れている。あるいは、バラの棘がちくちくと絡みついている。とにかく頭が痛い。部屋の明かりが目に刺さる。些細な音が耳を突く。誰かに「湯船に浸かるといい」と言われたけど、効果が見られたことはたぶん一度もない。結局一番効くの…

潮汐(Tide)

夢のくぐり方を間違えた。まだ空も白んでいない、早い時刻に目覚めてしまった。起き抜けのぼんやりした頭。布団の上のナマケモノ。薄暗い中で、枕元のペットボトルに手を伸ばす。唇のすき間から、そして汗腺から逃げていった水分を補いたい。日照りの町が雨…

ゆふれゐ

本屋。興味のある雑誌を手に取って紙を捲っていると、後ろに人の気配を感じる。見えないけれど確かにいて、見えないゆえに気になってしまう。雑誌の内容が頭に入らない。捲る手を止め、本を閉じる。それを元の場所に戻すと、さささと去る。妙に身体が重い。…

健やかなる

いつの間にか、凝った料理を見ると「誰が作るんだろう」と思うようになってしまった。入念な下ごしらえ、丁寧な調理。そもそもこれだけの食材と調味料を用意するのにいくらかかっているんだろう。余計なことばかり気になって料理がおいしいのかはどうでもよ…