NIGHT SCRAPS

今 https://note.com/star_gazer_

2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

桃色の風

春という季節に、別段いい思い出もない。例えばクラス替えだ。人間観察をするのが好きで「誰々と誰々が仲良くて、誰々はそうでもない」と考察ばかりして、自分はその輪に入るのが苦手だった。もう出来上がっている関係のなかに入って「僕も僕も」と主張する…

朝と抱擁

桜の開花が発表された日。久しぶりに温かなやさしさに包まれた日。古着屋さんでよさげな半袖シャツを見つけて、安かったけれどそれだけを買った。部屋に帰って来て着替えてみて、「うーん、いいなあ」と思ってまた脱いだ。スーパーで買った食材を冷蔵庫に詰…

ぽこぽこと、思考する(15)

・休みの日に限って、何かしないといけないような気がしてくる。空っぽの頭にどんどんと液体が流れ込んでくるみたいに、変な義務感が支配する。いやだ。かと言ってむつかしい本を広げてみても、頭がスカスカなのだから入るものがない。ただぼんやりとゲーム…

まぶしがりや

ずっと読みかけだった本をやっと読み終えた。カーソン・マッカラーズの『結婚式のメンバー』だ。1946年の小説を村上春樹さんが新訳したもので、カバー写真にはマッカラーズ自身の姿が写っている。物語は「緑色をした気の触れた夏のできごと」で、十二歳の少…

ポップ・ウイルス

そこには確かに星野源がいた。表情も判別できないぐらい遠い場所からだったけど、「目が合った!」なんて幻想も抱けないぐらいの場所からだったけど、確かに星野源は存在していた。最高の夜だった。 三月十日の博多は、天気予報通り雨だった。乗り物酔いで気…

花と棘

低気圧が過ぎ去って、温かい天気が来た。冷たい風の中で重ねられた温い手のような、やさしい天気だ。川面に光が跳ね、うっすらと赤らんだ梅の花がふわりと揺れた。古着屋に寄ったりハーフコートをクリーニングに出したり、またいつものように買い物をした。…

ひとり再考

他人からどう思われているのか気にしてしまう。自分への自信が足りないからか、それとも不安感が強いからかは分からないけど、人の視線で自分の行動を律している。今日も個人が経営している喫茶店に行って、ずうっと落ち着かなかった。「なんでサンドイッチ…