ポップ・ウイルス

 そこには確かに星野源がいた。表情も判別できないぐらい遠い場所からだったけど、「目が合った!」なんて幻想も抱けないぐらいの場所からだったけど、確かに星野源は存在していた。最高の夜だった。

 三月十日の博多は、天気予報通り雨だった。乗り物酔いで気持ち悪くなった僕は、知らない街に右往左往していた。ヤフオクドーム行きのバスに乗り、窓際の席に座っていると、道路を埋めるようにたくさんの女性が歩いているのに気がついた。似たような服を着て同じ方向に向かう彼女たちは、どこか兵隊のような趣があった。バスが停留所に止まり、女性たちがどんどん乗り込む。次第に酸素量が薄くなり、温度や湿度が高まった。苦しい...。

 ヤフオクドーム近くで降りると、とんでもない人の数が目に入った。まるでゲリラだ。看板の前では写真撮影をする人が、グッズ前には長蛇の列が。人に揉まれ揉まれ、雨粒に当たりながらなんとか入場できた。それでもやっぱり人の多さ。自由を束縛され、隙間を縫うのも一苦労だ。f:id:r46abfcfd77x7mE05SE181:20190312152229j:image

 開演は午後五時だった。暗転し、人々が立ち上がる。歓声が上がるので辺りを見回すと、会場の中央辺りでギターを弾く源さんの姿が。ざわめきもすぐに止んで、その歌声に耳をすました。僕はモニターに映る姿と、フィギュアぐらい小さい姿を交互に見ながら、手を叩いたり振ったりした。『POP VIRUS』の曲たちが、バンド編成によって迫力が増し、ド派手になっていた。かっこいい...。これぞライブの醍醐味なんだろう。

 前回観に行った''Continues''ツアーでも思ったことだけど、みんなそれぞれの身体の揺らし方や踊り方があって、普段もこうやって音楽を楽しんでいるんだろうなと嬉しくなった。まさに音楽の感染。一人の人間から生まれた音楽が、バンドメンバーや200人以上のスタッフ、ELEVENPLAYの方々などによって形をなし、三万五千人(子供からお年寄りまで)へと波及していく。温かくて、「ヤバい」ウイルス。

 腰はバキバキ、足はプルプルしたし、手もジンジンと痛かったけど、至福だった。一瞬一瞬過ぎゆく時間があまりに切なくて、言葉にできないぐらい素敵だった。「恋」の高揚感、「Present」のカタルシス、「肌」のスケベさ、「プリン」のくだらなさ、源さんの今のすべてが詰まっていて、それがどれもみんなの心を温めていた。自分のことではないのに、これだけのライブが出来上がっていることへの喜びで、涙が流れそうになった。また会いたいな。できるならキャパの小さい会場で、こじんまりと(人の多さに疲れちゃった)。


星野源 - 恋【MV & Trailer】/ Gen Hoshino - Koi


星野源 - アイデア【Music Video】/ Gen Hoshino - IDEA

Half of the Way (feat. Theo Katzman)

Half of the Way (feat. Theo Katzman)

  • Vulfpeck
  • ファンク
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

※開演前に流れていた音楽でかっこよかったやつ。