広場の効き目

 久しぶりに自分が住んでいる町に戻ってきたら、商店街の風景が変わっていた。新しい店ができていたり、この間までやっていた店が閉店していたり。おいしそうな本場讃岐うどんのお店があって、ついぶらっと寄ってしまいそうになった。あと、何かのイベントなのか、広場のようなところに踊り子っぽい人がいて、人だかりができていた。先週ここを通ったときにもまた違うイベントが催されていたから、きっとこの広場は人々の憩いの場になっているんだろう。

 先日、近所にブックオフがオープンして、暇だったので寄ってみたらすごい数の人がいて驚いた。この人たちは、どこから来たのだろう。そして普段は何をしていたのだろう。もしかしたら、ブックオフがオープンしたから、久しぶりに外に出たという人もいるかもしれない。だって、外に出なくてもなんでも済んじゃうでしょう。経済のことはよくわからないけれど、ネットでなんでもできちゃうというのは経済的によくない気がする。外に出たらなんだかんだお金を使ってしまうけれど、それでお金の循環が生まれているのだとしたら、悪い気もしない。

 でも正直言って、お金の面は別にどうだっていい。僕が面白いのは、例えばイベントがあると人がどっと集まったり、ある建造物が文化遺産に選ばれるとそこを訪れる人が増えたりすることだ。なんていうか、人に「ここ行ってみたいなあ」と思わせる何かにどきどきする。どこかに行くのってかなりエネルギーがいるけれど、それでも行ってみたいと思わせるのはむつかしい。

 ずうっと僕が感じていることなんですが、「ぶらっと落ち着ける場所」って案外ない。喫茶店に入っても、お客さんがあんまりいたら早く出なきゃと思ってしまうし、そもそもちょっと座れる場所自体あまりない気がしているのだけど、僕の住んでいる町だけかな。こう書いていて思い出した。あるとき散歩していて、おじさんたちがお酒を飲みながら将棋をさしているのを見かけてなんだかいいなあと思った。おじさんたちがぶらっと集まって何かしている、ってのがよかったのかもしれない。今の社会は割と「おひとり様用」に作り替えられている感じがするけど、「何人でもいつでもどうぞ」みたいな気軽さが欲しいなあ。

 だからこそ、広場って大事だと思う。あの雑なくらいに開かれた空間って、わかりづらいけど必要じゃないかな。僕の住んでいる町でも、本当は広場に使うはずだった場所を、市長が「もったいないから」とそこに何かを建てようとしている。広場だったらよかったのに。そこに生まれるはずだった人の流れ、繋がり。子供たちが走り回る風景。