NIGHT SCRAPS

life, solitude, words

楽しさを寝かせよう

 僕の大学は、どうやら学業が‘‘ほんとうに’’好きなようで、5月1、2日と授業が入っている。たぶん何人かは「そんなの知るかっ」と帰省したり恋人とデートしたりすると思うけど、僕は一応全部受けるつもりです。恋人いないからね。

 長い人で9連休ぐらいあるこのゴールデンウィークも、僕は4連休です。でも結構楽しみで、久しぶりに友人に会ったり家族と過ごしたり、ああしたいこうしたいみたいな妄想を夜な夜な考えている。でも薄々わかってはいるけれど、どうせほんとに実現するのって妄想の半分くらいだし、妄想ほどうまくはいかなかったり思ってたほど楽しくないものだ。宝くじを買って「どこそこに旅行に行ってあれこれを食べて...」とプランを立てても現実は300円くらいしか当たらないのと同じだ。

 その旅行も、行く前の日が一番楽しいような気がする。ポール・マッカートニービートルズ解散後結成したバンド、ウイングスのアルバムに『Band On The Run』という名盤がある。当時ポールは、ナイジェリアのラゴスで常夏のビーチを楽しみながらレコーディングしようと考えていた。しかし、ラゴスへ行くまでに2人のメンバーが脱退。現地はちょうど雨季でビーチどころの話ではない。しかも、ギャングに襲われてデモテープやカメラを奪われてしまった。こんな惨事がつづいた後で歴史に残るアルバムは完成したわけだけど、旅行って何があるか分からない。まさか旅行に行く前に「ギャングに襲われるかも...」なんて、ポールは想像してなかったはずだ。

 僕の父親は、僕の母と出会う前にも家庭があって、子どももいる。つまり、腹違いの姉がいるということですね。父は一戸建ての家を建てたそうで、ある日「キッチンとかリビングとかをどうするか考えているときが一番楽しかった」と言っていた。やっぱりそういうものなんだなあ。どうなりうるか分からないからこそどきどきするし、「こうなった」では、楽しさは失せてしまう。

 つまり、こうやって「友達とカラオケに行ったらこれ歌おう」とか「あそこでこれを食べよう」と思案している時間は、ある意味で一番幸福な時間だ。でもよく考えたら、こんな「楽しさを寝かしている」時間のために、僕らは生きているようなものじゃないか。「今週のミュージックステーションにあの人でるから頑張ろう!」とかってよくある。「今週の金曜ロードショージブリじゃん!」とかも。だから、週末に何かわくわくさせてくれる人は、たぶんびっくりするぐらいの人数を救っていると思う。そうしてじっくり寝かした楽しさを味わって、また来週、再来週と、僕らはなんとかやっていけるのだろう。ゴールデンウィーク、あなたは何をしますか。