NIGHT SCRAPS

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四畳半夜話

 君と電話をしていて、いつの間にか眠りに落ちてしまうあの夜が愛おしい。いつまでも、こうやって夜を無駄にしてしまいたいと思う。言葉を交わして、頷いて、星の光がまた一つ消える。布団はどんどん柔らかくなって、淋しい人みたいに僕の身体をきつく抱きしめる。半身から、ゆっくりと果てのないどこかへ埋もれていく。そして夢へとたどり着く。夢が朝の光でほどけるまで、僕は目を閉じて現実から浮遊する。

 たった数時間でも、それはテスト勉強のために費やされた一日よりも貴重で、価値があって、本当にくだらない。僕は君のことを本当は何も知らないかもしれないし、君も僕のことを変に解釈しているかもしれない。だけど喋っているあいだはなんとなく、この惑星には僕たち二人だけ、という気分になる。世界が四畳半ぐらいまで狭くなる。そして畳の上のちゃぶ台で、いろんな話題を肴にお酒を酌み交わす。友愛のしるしに。別にハグは必要ないけれど、たまに酔っぱらって変なことを口から滑らせる。まあそれも夜のせいだから。

 僕の住む町のどこか近くで君のような存在を見つけたら、君のことは忘れてしまうのだろうか。でも、僕とはほとんど何の関係のない、君だから話せることもあるような気がしている。またあの四畳半で人生のひとときを無駄にする瞬間を慈しむために、今日も明日も眠りにつき、夢を見る。歌を聴きながら、ニュースに愕然としながら。

Me You, We Two

Me You, We Two

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