夜を素描する

 今までどれだけの記事で「夜」について書いてきたか分からないけど、僕にとって夜は結構特別だ。恐ろしいけど魅力的で、とても親しいけれどときどき僕を見放す。そういう矛盾をはらんでいる。夜がくれたものを、僕は言葉でできるだけ表そうと思うし、それによって何かが薄っぺらく嘘くさく感じられても、僕は続けようと思う。

 終わらない夜はない、とよく歌詞で歌われるけれど、夜はずうっと続いている。地球という星から見れば、夜はただ移動しているだけで、終わったわけではない。北のほうの地域では、ある季節にはずうっと薄暗く、日がささないということがあるらしく、その時期には自殺者が増加するという。夜は人の心を蝕み、目から光を奪い、「理性」の封印を解き、本能を檻から逃がす。笑うフリが上手な人は泣きじゃくり、利口そうな人は拳を誰かに向ける。

 それでも夜はどこか優しい感じがして、僕は好きだ。孤独は辛いが、四六時中他人と向き合うことはより面倒だろう。誰かのための自分は必要なく、自分のための自分だけがそこにある。涙を肯定してくれる人はいなくても、恥じらうことなく泣くことができるし、真夜中のラーメンを否定する人もいない。なんだかそういう、「気ままにやっててくれ」という夜の態度が、僕は落ち着く。

 まあ別に誰の損にも得にもならないけれど、ここの名前を「NIGHT SCRAPS」にした。この名前はけっこう前からあったもので、僕の友達は覚えているかもしれない(忘れてても構わないけど)。今までの「VILLAGE GREEN」は、僕の記事を中心に、人びとが考えたり発話する「村」のような場所があればいいなという思いがあったけど、そういうでっかい野望は他の誰かに任せよう。僕は黙々と、夜を(別に夜だけに限って書くわけじゃないけどね)描こうと思う。そして、そのスケッチをいっぱい集めて、いつでも見返せるようにしよう。まあ、そういう感じだ。

 これはれっきとした自慢だけど、僕は自分の文章が一番好きだ。単に他人の文章に無知なのかもしれないけれど、そうじゃないとここまでの数を書いていない。ちょっと前に、「どうすれば文章が上手くなりますか?」という質問を頂いた。もしここで「~という風にすればよくなりますよ」と返したら「うわ、自分の文章を上手いって思ってるんだ、ふっ」と馬鹿にされそうだけど、文章を書くのが苦痛にならないためには自分の文章を好きになればいいと思う。その方法は、いくつも転がっている。