NIGHT SCRAPS

life, solitude, words

ここは水際

 またいつものように、騒がしい雨音のあとに新しい季節が来た。その日は雷鳴もしていたかも知れない、もしかしたら。雨音が部屋に浸みこんでくる。それを聞きながら、いろいろと面倒なことをパソコンで整理していた。風の方もすごいから、ベランダに干していたシャツを部屋に入れ、窓辺から外の様子を伺ったりした。夜が更けようとするころ、穏やかになり始めた雨音に混じって蝉の声が聞こえてきた。

 ノイローゼが吹っ飛んだみたいに、その翌日から快晴が続いている。湿った暑さに変わってただの暑さがやってきた。突っ立っているだけで汗が肌を伝っていく。冷たい水をゴクリと飲んでも、ハンカチで肌を拭いても、しばらくは身体が熱を帯びて仕方がない。寝起きにはいつも喉が渇き、食欲はどこかに消えている。心のどこかでは、次の季節の涼しさを期待している。そうして秋が来れば、冬へ駆けていく準備をして、春に芽吹く種を植える。今この瞬間にうんざりしながら、この先の季節に恋焦がれてまた一歩と足を出す。

 僕が一日の中で最も好きな時間は黄昏だ。空が真っ赤に燃えて、あっという間に消えていくのがいいなあと思う。だけど、夜になる前の澄んだ青色も好きだ。このあいだは午後七時ぐらいまで図書館にいて、お腹が空いたから席を立った。本を棚に戻して、外に出た。まだ空は淡い青色で、それでも街灯はぱっと点いていた。夏祭りに合わせてか、薄暗い中で踊りの練習をする人々がいて、その横を自転車で通り過ぎた。淡い青がだんだん濃くなっていく。それでもきれいに澄み切っている。遠くの方で、金星が申し訳なさそうに光っていた。

 この季節には、薄暗い部屋が妙に涼し気に感じる。夕方にはまだ、外の微妙な明るさがカーテン越しに揺れている。ぬるいシャワーで汗を洗い流して、適当にご飯を済ませて、再び面倒なことと対峙する。そいつの後ろにはまだ何人も控えている。暑さのせいにはできない。そもそもなぜこんな文章を書いているのか、もっと重要なことに時間を費やすべきじゃないのか。そういう声が蝉のようにうるさい。だけど僕はそんなことより、楽しそうなナイトプールに心惹かれている。

Uncomfortably Numb (feat. Hayley Williams)

Uncomfortably Numb (feat. Hayley Williams)

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