NIGHT SCRAPS

life, solitude, words

安心な僕らは

 日曜日の朝は、ほんわかした優しいお天気だった。僕は駅までゆっくりと歩く。リュックサックは衣服や本、筆記用具なんかが詰まってぐっと重い。今のとろとろとした眠気の中では何にも覚えていないけど、過ぎ去っていく景色を懸命に記憶しようとあちこちを眺めて歩いていた。故郷がまたとおくなっていく。

 バスで二時間半、間に渋滞なんかもありながら目的地にたどり着いた。商店街でドトールや本屋に立ち寄って、そのあと路面電車に乗り込んだ。がたごとと揺れた。進んで、止まって。それから大学前で降りてスーパーに寄って買い物してレジ袋握りしめて家まで歩いて「あー洗濯しなきゃ」ってあたふたしてご飯作って暑いからシャワー浴びて。グラスに氷を入れ、チューハイをそそいだ。ぷはあって感じ。それからだんだんふわふわする心地。

 こんな日には、女の子とだらしない恰好で寝そべりたい。窓を開けて風を招き入れたり、唇の端っこから涎が垂れたり。果実の皮を剥くように服を脱がせたり、指と指で戯れたり。女の子が僕の本棚から適当に本を抜き取ってページを捲り、何でもないような文章を音読したり。そのような風景をふと想像して、憧れる。何の難しいことも考えずに過ごせる時間は、僕にあとどれくらい残されているんだろう。朝から次の朝まで、誰かと無駄にできる時間って。

 と、こんなことを書いていたらもう夜が深く長くなろうとしている。あんなに気持ちいいきれいな快晴だったのが、今では騒がしい雨音まで聞こえている。憂鬱が背後から忍び寄っている感じだ。明日はニトリに行っていろいろ揃えようと思っていたのに。ああ、そうだ、やらないといけないことがあるんだった。休みが終われば、一人で起きて顔洗って服着替えて学校に行って真面目に話を聞いて自分の至らなさを思い知って悔しい思いを噛みしめながら一人で家に帰って一人で寝て、繰り返すように、ひっそりと、誰にも知られず朝を迎えるのだ。