NIGHT SCRAPS

life, solitude, words

まだまだ僕は若いから

 難しいことは全然分からない。数学の公式のあれこれは頭から蒸発してしまった。このところ、集中力の短さにうんざりしている。檻から出たライオンみたいに、一つの場所でじっとしているのに慣れないのだ。そんな感じで気まぐれに、YESと言ったりNOと言ったりする。これって若さなんだろうか?

 クリームソーダの青空に遠くの方で溶けだすバニラアイス。シャワーを浴びたばかりの肌を、冬の名残りを感じさせる涼しい風が通り抜ける。えーと、新学期が始まって色々うんざりすることがあるけど(スマホ触ってる人とか、眠ってる人とか)、授業の内容が面白いのは確かだ。それに今日、カーヴァ―の『ファイアズ(炎)』が届いて読み始めたところで、かなりハッピーな心地にある。

 彼のエッセイ「父の肖像」を読んで、自分の父親のことを考えた。僕はあんまりお父さんに似ていないんじゃないかと思っている。というか、何人かの女の人とニコニコ写真を撮ったり、二回も結婚を失敗させたり、健康に悪いことばかりして薬なしには生きられなかったり、とてもじゃないけど真似したくない。父には(だいたいの人間がそうであるように)いい面と悪い面があり、僕は「いい面」がずっと見えていなかった。だけどここ最近になって、父に惹かれている部分に気がついたのだ。アランもびっくりするぐらいの楽観主義者。とっても身近な哲学者。だから僕には『幸福論』なんて必要ない、多分。

 たくさん働いて偉くならなくたって幸せを見つけている人を知ってしまっているから、僕には上昇志向とか競争意欲とかそういう類いのものがないのだ。別にそんな自分を肯定してほしいわけじゃない。これは半永久的に揺るぎないから。あ、でも僕はまだ若いしなあ。バリバリに働いたり、飲み会に参加しまくったりするかもしれない。詩情に耽ることが急に馬鹿馬鹿しくなって、ビジネス本に赤線を引いたり...。「あっ、今日の空、クリームソーダみたいだなあ。じゃああの雲はバニラアイスってことだ!」って思って、誰かに言いたくなるなんて、今だけなのかな。

 これから先どうなるんだろうと思索すると、いろいろ不安の種が頭からあふれだす。嫌な渦の中に引きこまれそうになる。夜が呪いを唱え、血を求め歩き始める。まだまだだ。まだあの、テレビの前でトドみたいに寝ている楽観主義者にはなれそうにない。

幸福論

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