NIGHT SCRAPS

夜をつらつら書き連ねるブログ

なんとなく嬉しくなった日

 太宰治の『人間失格』が蜷川実花監督によって映画化されるとツイッターで知って、「へえ、小栗旬かあ、ちょっとムキムキすぎないかなあ」と思っていたら、高校で同じクラスメイトだった女の子から久々にラインが来た。『人間失格』のことで、だ。

 彼女は太宰治の小説が好きで、中期の作品『ろまん燈籠』について語っていたのを覚えている。たぶん『人間失格』で「自分のことだ...」と感じた側の人だと思う。そんな彼女から「嬉しかったから、誰かに言いたくて」という理由からメッセージが届いた。話題はずっと映画化のことだった。途中、本屋さんでバイトしていることや、夢野久作の『ドグラ・マグラ』はちょっと悪いことをしたいときに隠れて読むといいよ、という謎のアドバイスを貰ったりした。ちょっと悪いことをしたいときって、何よ。

 ふと太宰治の『人間失格』を、本棚から取り出した。新潮文庫で、目が痛くなるくらいのピンク色のカバー。ペラペラと捲っているうちに、懐かしい気持ちになった。中学一年生のときに読み、高三で再読したときは半分トラウマになったけど、今改めて読むと笑える。だって、散々「自分は恥の多い生涯を送ってきました」とか「自分には道化しかなかったのです」とか語っておいて、最後の最後には「神様のようないい子でした」で終わらせている。自分のことがつくづく嫌いかと思わせて、実はすごく愛している。そういう面倒くささが面白い。

 昨日からあんまり嬉しくない天気で、学校に行くのも気が進まなかった。コンクリートの上に銀杏の葉が降り、踏まれた。雨で落ちた銀杏の葉がその上に重なり、また踏まれた。見上げれば鬱々とした曇り空が厚く堆積しているのに、銀杏のぽかぽかとした明るさがぱあっと広がっている。でも誰もそこを気にせずに通り過ぎているのがまた痛快だった。冬!...あ、とある授業で中間試験をしたのだけど、あんまり自信がなかった。でも今日返されると優秀答案に選ばれていて、途端に嬉しくなった。一番点数が高かったわけではないけど、平均点よりあったので、丸。文句なし。

 その彼女とは卒業式以来会っていない。バイトしてる本屋さんに行ってみたいな。どこか知らないけど。知ってたとしても東京だから相当な距離があるんだけど。店員さんとお客という立場で会ってみたい(面白そうだから)。高校が一緒で仲良くしていた人とも、どんどん疎遠になっていく。勝手にひとりぼっちの気分になっても、意外と糸は切れていなかったりするのかな。そう思うと嬉しくなった。