NIGHT SCRAPS

夜をつらつら書き連ねるブログ

キラーチューン

 一人暮らしを始めて一年半、お金が入ったらすぐにシャンプーやティッシュなどの生活必需品を買うくせができた。月末に無くなっても不安になることはないからだ。それから、光熱費や電気代のだいたいの目安を考えて「食費はこれぐらいかな、じゃあ自由に使えるのはこれくらい」と決める。それでも一か月をやりくりするのはむつかしい。急にイヤホンの調子が悪くなったり靴下がびろびろになったり、欲しいものが突然現れたりする。

 なんとか今月も乗り越えることができて、今日は久しぶりに街に出て、あれこれ見に行った。グーグルマップで古着屋さんを調べて、行けるところをしらみつぶしに訪れた。入るのに勇気がいるような場所も、ワクワクが勝って足を踏み入れた。古着なのに一万円以上するのがザラにあって、何も買わず出てしまった(それでも入れたことの達成感のほうが強い)。服を買いに外に出たのに、唯一買ったのは古本屋で手に入れたオアシスのギャラガー兄弟に関する本だ。紙に包まれた本。本屋さんで買うとこうやって紙で包んでくれるから好きだ。

 路地を歩いていると、お店がびっしり詰まっていて(しかも一目見ただけではよく分からないところばかりで)本当に幸せだった。裏路地にこっそりと佇む映画館、アルバイトを募集してる喫茶店、靴を修理するお店、潰れてしまったヴィレッジヴァンガード。大きな通りには親子やカップルの姿が見え、少し歩くと裏道で煙草を吸う男の人がいる。その景色を、僕が縫っていく。

 帰るために路面電車に乗ったのだけど、ふたりの女性がやけに印象に残った。一人は、隣に座った女子高生。背中を曲げ、熱心に上橋菜穂子さんの『獣の奏者』シリーズを読んでいる姿がまぶしかった。もう一人は、三十代ぐらいの女性。上はベージュ色のシンプルなシャツだったけど、下は真っ赤で派手な柄のロングスカートだった。すごくオシャレで、戦いに向かう戦士の武勇のようでもあってかっこよかった。

 大学前で降りた後も、自転車に乗ってぶらぶらしていたら大きな公園を見つけたり、ドラッグストアでシャンプーや冷凍食品なんかをまとめ買いした。もうそのときには黄昏で、昼と夜の空の境が紫色の帯になっていた。身体はくたくたで、靴でぎゅうぎゅうになっていた足はじんじんと痺れていた。幸福的な疲労。今日はめんどくさいから晩御飯をレトルトカレーで済ませた。まあこんな日があってもいい。「贅沢は味方」。

キラーチューン

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