NIGHT SCRAPS

夜をつらつら書き連ねるブログ

熱の中

 今日は六時間ほど図書館にいて、ゼミのレポートを仕上げた。文献をいろいろ探りながら、3000字にまとまるようにパソコンで文字を打ち込んでいく。その間、疲れを紛らわすようにキリンジを聴いていた。さあ、終わった。気がつくと母からメッセージが届いていた。いつ帰ってくるのか、という旨だった。

 図書館を出ると、半裸の男たちが数人、自転車でけ駆けていくのが見えた。これだけ暑いと服も脱いでしまうんだな...とちょっとおかしくなった。とぼとぼと歩きながら、母に電話をかける。ベルが少し鳴って向こうの声が聞こえる。いつ帰ってくるかの話なのに、なぜか熱中症の話題をしてくる。ああ、お茶飲んでるから大丈夫だよ。お茶は利尿作用あるけん、ポカリとかのほうがええよ。あぁそう。自転車に乗りながら、久しぶりに言葉を交わす。自動販売機のあたりに大学生が二人いた。じゃあ、この日にそっちに帰るから、また来月ね。そう言って電話を切った。

 絞り切った雑巾のような身体をまだ動かして、近所のドラックストアへ向かう。水とティッシュペーパーだけを買って、外へ出る。気がつかなかったけれど、夕空がすごくきれいだった。雲にもにじんだ夕焼けの色と、薄くなってしまった空の色。思わず写真を撮った。黄金色の雲が、鳥のように悠々と浮かんでいる。信号が青に変わるのを待って、自転車を附いて行く。枯れた紫陽花が狭い歩道を塞ぐようにそこにあるから、急いで歩く。自転車のかごからビニール袋を持とうとした途端、びりりと破けてしまって、ふいに笑いが漏れた。赤ん坊のようにそれらを抱きながら二階まで階段をのぼると、さっきの夕空がまたきれいに見えた。息を深く吸い込んだ雲が、地上から少し浮かんでいる。空が低く見える。

 母と話していて思ったのは、二か月という時間の距離をまったく感じなかったことだ。たとえば同じ地域に住んでる人でも、数日会ってないと本当に久しぶりな感じがする。でも家族はなんというか、「久しぶり」という言葉よりも先に「ただいま」という言葉が喉からあふれる。帰るのは嫌いじゃないけれど、あんまり長くなると帰るのが憂鬱になってくる。朝早くに起きて、仕事へ行く母と一緒に家を出て、「またね」と言い合うのは好きじゃない。どんなことを想っているんだろうと考えると、バスの席に腰かける身体が重たく感じられる。

 そんなことをうだうだ考えていても、時間は確実に過ぎていく。去年は自動車免許を取るために早く帰省したけど、今年はゆっくりできそうだ。夏祭りでも行ってみて、ベビーカステラをつまみながら踊り子たちを見ようかな。そして、帰省したら初めて髪を染めてみたりね。雑巾が渇いたのなら、もう一度潤せばいいだけだし。 

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