NIGHT SCRAPS

life, solitude, words

精神的によく似ている

 「僕と明里は、精神的にどこかよく似ていたと思う」。これは、新海誠監督の『秒速5センチメートル』に出てくるモノローグの一つだ。NHKの番組で小説家の川上未映子さんと対談されたときに川上さんがこのセリフを取り上げていて、僕もそこが好きになった。精神的に、という言葉。なぜ好きなんだろうと考えてみた。

 友達と週末に電話している。ツイッターのフォロワーさんで兵庫に住んでいる、高校三年生の女の子。なんだか出会い系のように思われるかもしれないが、別に邪な考えもなく、ただ単に話してみたいという気持ちが強かった。まじめな話をすることもあるけれど、だらだらと好き勝手に話し合うことがほとんどだ。最近は僕が寝落ちしてしまうことが多くて、なんだか申し訳ない。それでも彼女と話しているときの気楽さが心を落ち着かせてくれる。

 話していてたびたび思うのは、僕とよく似ているのだ。そう、精神的によく似ている。妹がいたならこんな感じだったかもしれない。遠く離れた、血の繋がっていない妹、という感じ。僕が話した内容に「ひどいなあ」と言いながら、向こうも同じようなことを話している。僕がおすすめした漫画を、すでに向こうも読んでいて驚いた。なんというか、柔らかな産毛が感じ取る世界観が、よく似ている。嬉しいのが、僕らは生まれも育ちも年齢も性別も違うのに、魂が同じような身なりをしているということだ。異なる土地で育てた果物がふたつ、どちらも同じくらい不細工で、同じくらい不味い。なんだかその面白さがたまらない。

 きっとどこにでも、自分と瓜二つの心を持った人がいるに違いない。アメリカでも、東ティモール民主共和国でも。いや、地域の慣習や常識がそれぞれ違うから、まったく話が合うなんてことは絶対にないだろうけど、心の部分はそっくりになりうるような気がしている。国際恋愛なんかが成り立っているのも、そういうことなんじゃないかな。逆に、同じ土地で育った人でも相性のあまり合わない人が一定数いる。それは、「文化」とか「社会」とかいう表面的な部分ではない、そのもっと根幹のところがしっくりこないんだと思う。

 世界中に「精神的によく似た」兄弟がいるのかもしれないと思うと楽しい。とりあえず、北欧の長閑な国へ旅行をしたい。おいしい料理でも食べながら、窓から青々とした景色を眺める。真昼のやさしい陽光を浴びて、お昼寝をする。普段の生活で溜まった毒素を、毛穴から排出したい。何もしゃべらなくても落ち着ける「妹」と一緒にあちこちを巡ったら、いいだろうなあ。妄想とか願望とかにならないように、メモしておかないと。