NIGHT SCRAPS

夜をつらつら書き連ねるブログ

ええじゃないか

 好きなバンドや芸能人の写真が見たくてインスタグラムをインストールしたのに、今ではおすすめに出てくる動物の動画が楽しみになっている。特にかわいいなと思うのはハリネズミで、仰向けになってリンゴをサクサク食べているのを見ると自然と気味の悪い笑みを浮かべてしまう。あと特に笑ってしまったのはある猫の動画で、わおーんという犬の鳴き声のあとに「にゃーん」と長く鳴くところは何回見ても飽きないしずっと可愛い。

 猫やハリネズミの動画は、けっこうどれも癒される。ただ食事をしているところでも、お昼寝しているところでも、平均的にちゃんと可愛い。それはなんだか、存在そのものに「いいね!」されているようで羨ましい。ミルク飲んでる、いいね!あっ、起きた、いいね!のような感じで。ただそこにいるってだけですべてを肯定されているようで素敵だと思う。動画に上がっている動物たちが家族の方々に愛されているのが伝わってきて、撮っている側の可愛らしさも感じてしあわせになる。

 自分も小さい頃は「喋った!」とか「立った!」とかでいちいち感動されていたんだろうと思う。アルバムの中に、ポケモンのぬいぐるみと寝ている自分の写真を見つけるとつい微笑む。小さい頃はやっぱり可愛い。今日だって、雨の中を相合傘をして帰る男の子と、その二人を追いかける女の子がとても可愛らしく見えた。いつもイヤホンをして外を歩くんだけど、その音や雨音にも負けないくらい彼らの笑い声が弾んでいて、少しだけ懐かしくなってしまった。

 週末によく友達と通話をするのだけど、自炊をしていることや洗濯を自分でしていることを褒められてうれしくなった。うん、冬なんか特に大変です。指がかじかんで、しばらく感覚がなくなってしまう。だからちょっと億劫になるけど、それで困るのは結局自分だから、しぶしぶやるしかないという...。世の主婦、主夫の方々のしんどさが身に染みるような気分になる。でもこういう地味な作業って「褒めて!褒めて!」と言いにくい。だってごくごく当たり前のことだもの。だからときどき褒められるとすごく嬉しくて、溶けそうになる。

 ただ普通に料理している動画に何百も「いいね!」がついたらすごく面白いと思う。ごくごく普通の日常が「ええじゃないか!」とされたなら、もっとちゃんとしてみようかなと思っちゃいそうだ。ハリネズミがしゃきしゃきとリンゴを食べるのを愛しい目で眺めるように、ただ洗濯したり献立を考えたりする姿にもっと光が当たったらいいのに。だけど、営みを最大限に肯定するのはむつかしい。それでも今日も全国の主婦、主夫は働いている。