NIGHT SCRAPS

夜をつらつら書き連ねるブログ

かなりむつかしい問題

 昔から、登場人物の心情を問う問題が苦手だった。よくあるでしょ、台詞とかに線が引かれていて、このときの主人公の心情はどのようなものか、ってやつ。選択肢があるならまだしも「〇〇字以内で記述しなさい」という問題は本当に頭を抱えた。だから、大学受験もセンター試験でよかったなと思う。

 一番記憶に残っているのは、高校二年生のとき。現代文の授業で、川上弘美さんの「神様2011」を読んだ。どのような物語かざっくりと説明すると「くま(あの熊です)と私が震災後の街を散歩する」という内容で、その中のシーンに「くまが蜜柑の皮を私に背を向けて食べる」というのがある。たしか蜜柑の皮だったと思う。そして、そこに線が引かれ、「どうしてくまは私に隠れてこっそり食べたのか」と問題を出された。僕は、正直意味が分からなかった。だって、くまじゃないもの。正解は「人間なら食べない蜜柑の皮を食べるのが恥ずかしかったから」だった。「くま」の性格みたいなものを理解していたら分かる問題だけど、僕はものすごく勘違いして、「食べている姿を見て私が怖がらないようにと思ったから」と書いて先生に苦笑いされてしまった。たしかにそうですよね。こんなに的外れな答えはない。

 心情を問う問題ができないことは、人の気持ちがわからないということと同じだと思うから、勝手に落ち込んでた。こちらはそんな気はないのにいつの間にか人を傷つけているときがある。この間友達とカラオケに行ったんだけど、その子は自分を音痴だと思っていて、僕とカラオケに行くのもちょっと嫌だったみたいだ。彼が歌う曲はラッドウィンプスやポルノ、バンプとどれも難しい曲でしかもキーがどれも高かった。だから僕は、「自分のキーに合った曲にした方がいいと思うよ」と‘‘アドバイス’’した。僕は‘‘アドバイス’’のつもりだったんだけど、その子は「上から目線でマウント取るのやめた方がいいよ」と僕に言った。いや、この発言以外にもいろいろと彼を苛立たせるものがあったかもしれない。でも全部無意識だったし悪意はないのに、あんまりよくない感じになってしまった。うーん、やっぱりむつかしいなあ。

 例えばここに書いている言葉を読んで「これを書いている人はこういう人なんだろう」と予測する。でも、前にも言ったとおり、これは「手紙を瓶に詰めて海に投げている」のと同じなんです。手紙を書くのに粗暴な言葉を使ったりはしないだろうから、きっとそんなに悪い人には見えないかもしれないけど、自然に使った僕の言葉が人をイラつかせてしまわないかと心配ではある。人の気持ちがわからないという問題を抱えながら、毎日毎日言葉をひねり出すんだろうな(相手のことをまったく考えないってことじゃないよ)。